長い干ばつ2022年08月09日 19:05

 長い干ばつ

 河岸段丘の端にある自坊は水はけがよい。雨が降ってもすぐ抜ける。このため毎夏、猛暑と干ばつに悩まされる。水が無ければ、自然環境は壊れる。いわゆる砂漠化である。蚊が少なく、草の勢いも止まるので助かるのだが、良いことばかりではない。ブルーベリー、柿、栗などの果樹は実を落とす。

 前栽のツツジの葉は茶色になり、千両は青い実をつけたまま、葉はしおれて枯れそうである。虫が少ないせいか、野鳥もあまり見かけなくなった。ただ、セミとカラスの鳴き声はうるさい。

 この前、落としたスズメバチの巣は、跡形もなくなっていた。近くにハチもいない。巣はイタチか何かが蜂の子を食べたのかもしれない。続きの垣根にハチの巣を作られたらかなわないので、竹の棒で叩いてハチが飛び出すかチェックしたが出てこなかった。

 一安心と思いきや、何かがゴソゴソ動いた。垣根に頭を突っ込んで、お尻丸見えでジッとしている。丸まっていたので、結構太っているように見えた。狸寝入りとはこのことか。この間抜けさは、アライグマではなく狸に違いない。騙したつもりになっている。狸はアライグマにやられて絶滅したと思っていたが、現れたので少し安心した。発見したのは午後2時か3時ごろだ。そう言えば朝方、誰もいないはずの、小屋の横あたりでガサガサ音がした。

 ひょっとして、電気柵を突破して来たのか。早速電気柵の漏電チェックに走った。草やツル、枯れた小枝が柵線に絡んでショートして電圧が落ちる。柵に沿って全線チェックした。念のためと思って電圧を測った。ネオン管式の簡易テスターだが、2,000ボルトぐらいしか出ない。これでは、狸は感知しないかもしれない。電源の出力を上げたが、電圧は上がらない。どうしたものか。

 落ち着いて、考えてみた。原因は干ばつにたどり着く。気候変動で食物連鎖が途切れ、貧困が起こり争いが起こる。規模は小さいものの、起こっていることは同じである。

 まず、夜行性の狸が昼に出てくる。干ばつでエサが少なく終日探している。夜はアライグマにやられているのかもしれない。乾燥しているので、地表面は絶縁シートで覆われた状態になっている。これでは電柵線に触れてもビリビリしない。

 動物が侵入しても境内には大した餌はない。だが、電柵が無力であることを、動物が学習してしまうと厄介である。タヌキなら放っておくが、アライグマは木に登るので被害が大きい。スチールの捕獲檻で捕まえるかな。昔この檻に近所の猫がかかった。この時は一夜だったが、留守の間にかかったら死んでしまう。寺で殺生はいかん。

 さて、どうする。今のところ出来ることは、電気柵の出力をMaxにあげて、雨を待つこと。もちろん、毎日気象協会と気象庁の天気予報をチェックする。「晴れ時々くもり、ところにより雷雨」が多い。これは何でもありの予報で、少しは期待するのだが、がっかりする日々が続いている。