水道と政治2022年07月01日 14:20

 水道と政治(独り言シリーズ1)

 岸田内閣の新しい資本主義


 2018年の水道法改正で水道のコンセッションが可能となった。2022年時点でこの方式を取り入れているのは宮城県である。新自由主義者たちがキャッシュフローの大きい公営事業に目をつけてはや10年である。日本の水道ではなかなかこの方式は普及しないのはなぜか。 

 水道の普及は1957年の水道法の制定により本格化する。命に直結する水の製造、供給を公営で行い、国内の隅々まで管路で給水し、蛇口で安全な飲料水が出る。普及率が98%となったものの、水道事業の課題は山積している。 

 国はこの課題解決の一つとして、導入を推進しているのが、コンセッション方式(民による事業運営)である。民間で運営する方が公営より効率が上がるらしい。

 民は利益を出して、株主に配当しなければならない。市民の払った水道料金のいくらかは事業体の外へ出ていく。水道は地域独占事業でかつ料金の不払いは皆無に近い。民間にとってこれほどオイシイ事業はない。特に水メジャーにとって大都市の事業は宝の山である。当然、ベオリアはこれを狙っているが目立つ戦略はとらない。アメリカとは違う、フランス特有の作戦である。とりあえずはカモフラージュして日本企業と組み実績を作る。その第一号が宮城県(水道用水供給、工業用水道、流域下水道の3事業の運営、みやぎ型)となった。

 さて、岸田内閣の「経済財政運営・・基本方針2022(内閣府)」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(内閣官房)」では官民連携の推進のところで、キーワードの出現順位が微妙に違う。グランドデザインでは ① 全ての空港 ② 公共交通ターミナル ③ スタジアム、アリーナ等 ④ 林業分野 である。同様に基本方針では、① スタジアム・アリーナ、文化施設、交通ターミナル ② 水道、下水道、教育施設等先行事例の横展開 ③ 全ての空港 ④ 樹木採取権制度の活用である。これらのベースは「PPP/PFI推進アクションプラン令和4年改訂版(内閣府)」である。それと矛盾はないものの(林業はフライングか?)、課題を経済政策のみで解決を試みる点で、新しい資本主義と新自由主義は何も変わらない。10年ぐらいたって、この政策に伴う弊害がぼちぼち出てくる。ヒト、モノ、カネの最も重要なヒトの問題は捨て置かれているのである。

 水道に関しては、キャッシュフローの大きさにしがみついた竹中××のような新自由主義者を重用した小×、安×、麻×政権の策を、今も引きずっているようで危ない。みやぎ型の評価もせずに、横展開を強化するとは何事か。既に内閣府にヒトは居らず、水メジャーの代理人を兼務してそうな気がする。厚労省はしたたかな抵抗戦略を打っているとの見方もあるが、分からない。

 民間の創意工夫、提案に期待するというが、民間の第一優先は、私利であって公利ではない。公共サービスの持続に向けてのあるべき姿、この辺りの議論はどこにいったのか、吾、前期高齢者はまだケツが青いか、考え過ぎか・・・頭がカチカチになって、♪  … ♪が出ない。とほほ・・・



<参考>

PPP/PFI推進アクションプラン    (令和3年改定版より抜粋


 公共施設等運営事業は、公共施設等について「運営等」8)を行うものであり、「建設」「製造」「改修」は含まれていない。

 8)運営及び維持管理並びにこれらに関する企画をいい、国民に対するサービスの提供を含む。 (PFI法第2条第6)



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