闘病とネットの功罪2024年08月09日 10:14

闘病とネットの功罪


 ガンが見つかって一年近くになり、ここ数ヶ月は抗がん剤の副作用で外出がままならない。終日家にこもることが多い。そんな日常で、もっぱら世の中の情報はTV、ラジオ、パソコンから得られる。中でもパソコンは双方向に情報交換ができるので利用する機会が多い。

 前にも書いたが、ガンで体型が激やせになり、ほとんどの服がサイズオーバーになった。仕方なく今の体型に合うものを買うとになる。身につけるものは人に頼まず自分で選んで買ってきた。動けない今は、もっぱらインターネットで買うことになる。

 さて、これが曲者である。商品の閲覧、比較、発注、支払いが容易にできる。家にいてほしい物が一週間ぐらいで手に入るのだ。だから、今必要なものと、近い将来必要になりそうなものも、ついでに買ってしまう。

 闘病中なので、すぐに着て行くわけではない。外出シーンを想定して、その時のために場にふさわしいスタイルと合ったサイズの服を買っておくのである。バーチャルで自画像を描いているようなもので、それはそれで楽しい。

 ちょっと先の元気な姿を想像している間は、病気の鬱陶しさはどこかに飛ぶのでしばし気分が晴れる。こんなことで、ネットショッピングは癖になってしまいそうである。

 問題は買いすぎることである。ショップのセールス戦略も多彩で、割引セール、クーポンの配布など期限を切ってあおってくる。あるショップでは、閲覧して購入に迷った物をお気に入りに登録しておくと、在庫状況をメールで知らせてくれる。

 在庫は僅かから始まって、残り2点、1点となり、消費者心理は巧妙に注文へ導かれる。まあ世の中の仕組みはこんなもんかと素直に納得して、純ぼくなボクは釣られて買ってしまう。

 こんな場合は、それなりに時間をかけて考えているのでまだ良い。怖いのはその時の勢いで、えーいと買ってしまうことである。とくにバーゲンセールは、お買い得だと思い込んでいるので危ない。

 闘病中だからの甘えが頭の中を駆け巡る中、衝動買いに走らないための策は、時間をおくに尽きる。一晩やり過ごせば、明朝には必要性が薄らいでいて、なくても良いかなとなることが多い。

 ネットショッピングに慣れればこんな楽なことはない。セールスの仕組みを理解し、マインドコントロールの仕掛けをゲーム感覚で受け止めれば、けっこう楽しめるのではないか。

 ネット空間は人の欲望、とくに知識欲を瞬時に満たしてくれる。AI も登場して能力の限界がみえない。真偽、危険、誘惑・・・混沌たる宇宙であるが故にその魅力は尽きない。

 ネットは地球規模となり現代では重要なインフラになっている。フットワークの悪い高齢の闘病者となった今、夢とロマンをかきたてられるもっとも身近な世界が、ネットであることも実感している。

 そろそろまとめよう ・・・受け身は苦、攻めは安楽への一歩・・・すなわち自らの我欲が満足されない限り心に喜びは生まれない。攻めの挑戦が心の喜びの原点である。

 闘病中の活動は制限される。そんな生活でネットは楽しみの宝庫である。せいぜい攻めのネットサーフィンで心身を喜ばせて楽しく健やかに過ごしたい。

 だが、バーチャルで自画像描いて万単位の買い物をすることになる。頻繁にできることではない。そろそろ「足るを知る」のブレーキを踏んで、衣服はシーズンごとに1、2点にしようかな。

 それに、いかなる買い物も快感を伴う。常習にならないようにも気をつけねば ・・・

 今回4回目の点滴入院である。3日目になり弱い倦怠感、吐き気、食欲不振などの副作用が出だした。

 そろそろ病人モードに切り替えまーす。

           幸太郎九拜 @病室