足先が上らない2024年03月17日 15:50

 足先が上らない


 2週間ほど前に突然左の足先が上らなくなった。下には動くので歩く時は、膝を高めにあげて足先をぶら下げた状態で歩くことはできる。

 これはどうしたことかと、整形外科で診てもらった。

 レントゲンで骨に異常はなく、腓骨神経麻痺による下垂足と診断された。この神経は細くて、圧迫されると麻痺するらしい。

 自分の場合、骨による圧迫はなく、どこかで強く打った覚えもない。ガンの転移が原因かもしれないので、後日MRIを撮ることになった。

 温めても冷やしても、運動しても回復には関係なく、3ヶ月ぐらいかかるらしい。

 経験のない症状がいろいろ出てくる。表に出ないのは免疫力の低下と、カルシウム不足による骨粗鬆症である。歩く時に転ばないように厳重注意された。もちろん3密は避け、散髪は3ヶ月以上行っていない。

 頭髪は暴れているが、くせ毛で回復したので、何とかなっている。痩せぎすの胴体に少し大きめの頭が乗っかってバランスが悪い。その内慣れる。一つでも回復があって、まあ、良かったと思わねばね。


 頭髪は元気だ。


ステロイドは効いた:退院2024年02月27日 18:06

 ステロイドは効いた:退院


 2週間の入院で外来診療となった。残念なのは、副作用の兆候に気づくのが遅かったことである。オプジーボのガイド冊子をよく読めば、重大な副作用として大腸炎が上がっている。オプジーボを点滴しだして、2ヶ月後ぐらいから腹の調子が悪くなり出した。その時点で先生に言えば、入院は避けられたかもしれない。ガイド冊子はよく読まねばと反省した次第である。

 自分にはステロイドはよく効いた。一週間の多量投与で排泄はほぼ正常化した。この薬は投与よりもやめるのがのが大変らしい。時間をかけて少しずつ減らさねばならない。計算では、一週間隔で11週、3ヶ月ほどかかる。


<参考>

 ステロイドについて以下のように理解している。

 ステロイドは副腎皮質ホルモンのように働き、炎症を抑えると同時に免疫反応を抑制する。目的の炎症を抑えるために、最初に多量のステロイドを投与する。これで体中にホルモンは充満するので、副腎は休んでしまう。急には復帰しないので、だましだまし起こすことになる。この間、免疫抑制作用が出ているので、いろいろな副作用のリスクが増える。


 身体の変化としては、体重が減ったのが大きい。手術後の9月から10キロ減った。鏡をみてびっくり、ガリガリだ。それに、消化器がやられたらエネルギーがとれないので、とにかく力が出ない。これには参った。

 次の変化は、頭髪が復活したことである。抗がん化学療法から半年たったので、平均的な回復である。おかしなことに、直毛だったのにくせ毛が出てきた。これからは、ずっとくせ毛なのかなあ。いよいよ、頭の外も内も天然か。いろいろ出てきますね。


 抗がん療法に副作用はつきものである。実感として、必ずでると覚悟したほうが良い。あまり神経質になることもないが、我慢はいけない。早期発見が一番である。

 今回の経験で、入院時の要るものは片付けるのをやめ、ひとまとめにしておくことにした。何かでたら即入院だ。4回も入院すればそれぐらいの知恵はつきますよね。



読書: 禅 @病院2024年02月21日 13:23

読書: 禅 @病院


 ガンの治療もここまできたら、不安感は薄らいだ。再入院で、まとまった時間が取れることになった。この辺りで、心の栄養補給に禅はどうだろうか。

 家内に積読してある関係書を持ってきてもらった。「禅による生活」鈴木大拙と、「奇人問答」則竹秀南である。奇人の方は妙心寺塔頭の一つ、霊雲本庵の書院落慶記念でいただいた本である。自坊はこの院の派に族している。

 読み始めてわかった。甘かった。病中だからかも知れないが、なかなか読み進めない。数行読むのに、やけに時間がかかる。集中度を上げて何度も読み返さねばならない。というのは、しょっちゅう仏教や哲学用語がでてくるのだ。おまけに例の禅問答だ。 

 普通の合理的な理解は通じない。それを超えた宇宙が禅であるというイメージである。何度も問答することで、頭を無次元の宇宙にはせよと迫るのだ。それと普段の生活との関わりはどうなんやろ。実感がわいてこない。

 何くそと思って挑んでみたが、続かない。これでは心身ともに消化不良でまた下痢しそうだ。

 この手の本は頭の中がスッキリしている時に、何度も読み返して、ある時ハッとするのかな。

 これまでのところ、禅、悟りに関連してぼんやり、次のような理解である。

 禅問答は、お経、念仏、聖書などを何度も唱えたりするのと、共通するように思える。成仏への歩みである。肝心なのは無心で唱えることである。その繰り返しで、やっと仏というか、悟りに近づけるのではなかろうか。無心の境地は不連続な心のありようで、そのシフトは容易ではない。

 えーい! 今回はこれまで。迷いが高ずるまで、本は積読。



読書: 闘病記、百歳日記@病院2024年02月19日 17:28

読書: 闘病記,百歳日記@病院

 入院中は、時間があると思って本を持ってきた。友に教えてもらった乳がんの闘病記「くもをさがす」西加奈子と、「最期のアトリエ日記」野見山暁治(102歳逝去)である。

 二つともエッセイなので、読みやすかった。

 闘病記はカナダという異文化の中でよくやるなあと思った。自分だったらもたんやろうな。女性の社交力の強さもあるのかなあ。

 ガンなので告知された時の血が引く感じや、不安感などは同じである。ガンに向き合わざるをえない自分と、客観的に見ている自分がいて、それがだんだん一体化したように書いてた。なるほどよくみている、共感した。

 野見山画伯のエッセイはすごい。90過ぎの日記である。ほとんどが、老いへの抵抗である。肉体の老化は確実に進み、機能は弱くなっていくが、頭はそれほどでも無いようである。頑健な体質だからか、たまたまなのか。

 それに、たくさんの人のお世話になって生活が成り立っているので、まわりの人たちへの気遣いもすごい。

 テレビも見ているので、コロナや、ウクライナなどへの考えは自分と何ら変わらない。とくに、社会や政治に対するなげきは、まったく同感である。

 最期の貴重な記録である。いくつか、気になった百歳の言葉をあげよう。時系列は前後するかも知れない。


  •  コロナ禍、黒人騒動と世界騒然。息がつまる。ぼくが生きているこの世情、今までと何ら変わるところがない。
  •  コロナウイルスの現状、安倍首相の子供じみた答弁。
  •  オリンピックの原稿で。新聞に載った文章を、政府が利用するような事はないだろう。今の政府はうす汚い。こっそりとやるか、打ち出して言葉を利用するか。一般庶民の言葉まで掬いあげそうな姑息さだ。
  •  百歳になって愚痴っても始まらん。
  •  祭日、このところテレビのひどいこと。日本は滅びるんじゃないかと危ぶむほど低俗を極めている。コロナのせいでは済まされん。
  •  財務局職員の自殺、妻の訴訟、ずっと気になっている。まさか知らんぷりじゃないだろう、国は。いや国は公明正大にやっていけるほど、単純なものではない、と言うか。
  •  コロナ禍でのオリンピック、無謀だよ、今の日本の指導者、いったい何を考えているのか。
  •  日本人は天候の具合まで自分の責任のように謝る。
  •  ぼくが肌身に感じた戦争を伝えたい。
  •  あえて言いたい、日本人は戦争に敗れたから嫌だと叫んでいるだけだ。負け方が下手くそ。負けないものと思い込んでいたらしい。
  •  新聞記事、森友決裁文書改ざん訴訟、財務局職員の自殺経過、ぼくはこんな国に住んでいるのか。
  •  わかっている。この歳になると、いつだって体のどこかが悲鳴をあげる。そんなに気にしなくていい。
  •  色んなものに興味が薄らぐ。薄らぐとあまり意味のないものに思えてくる。オリンピック、絵を描くことにも。
  •  ロシア、ウクライナに国家規模の強盗殺戮。理性に培われた現代に、こんな理不尽が、まかり通るのか。
  •  映像のぼくは自分で感じるより、ずっと老人だ。わざわざ、素っとぼけなくても充分にできあがっている。
  •  ロシアのプーチンの、あの冷たい顔が、ちらついていかん。一人の精神異常者の横暴で、地球上の全人間が不幸にさいなまれる。大袈裟に叫んでいるのではない。一瞬にして、それが可能な兵器を20世紀は手に入れたのだ。
  •  権力は生物のすべての、最高の憧れか。それを手にした途端、気が狂う。
  •  楽しく観せようとするテレビの、みるに堪えぬしらじらしさ。誰が歓んでいるのか。それともぼくが、今の人間のお笑いから、ハミ出しているのか。ずっと棲んでいたいと願うこの世であって欲しい。
  •  イギリス女王の死の報道、お祭りのよう。日本の国葬、安倍晋三氏の問題、どうする茶番劇。
  •  テレビは連日サッカーを追いかけて、いくら何でもこの国はスポーツしかやっていないのか。それにまつわる悪徳業者、政治家。時代がどう移り変わってもこのザマか。
  •  妻たち。彼女たちの寄せた愛情を、ただぬくぬくと享受している。二人とも同じようにぼくの許を去っていったが、ぼくが消した、という罪悪感が、苛みはじめた。妻たちに限らない。たしょうの愛情をぼくに抱いたひとたちに、ぼくは傲慢だった。
  •  ただひたすら自分だけが可愛い。そんな男に結婚の資格はなかったんだ。
  •  自分の体のことを人に任せているせいか、おのれの人生の、外っ側にいるようだ。
  •  周辺の人をそれなり犠牲にして、生きる資格が自分にあるのか。その思いは、日が経つにつれて、ぼくにのしかかる。この思いに早く決着をつけたい。日を重ねていると、判断が鈍くなる。
  •  今までにないこと。いきなりお尻から汚物。なんという猛々しさ。やはり老人になるのは恐ろしい。
  •  広島サミット、ウクライナ大統領くる。日本の親方、ずっと口を少し開き、白い歯を覗かせている。ここはきつく唇は閉ざした方がいい。日本人の親しみというか、社交顔だけど、世界に通用しない。


 あげ出したら切りがないのでこれぐらいにしますが、いきどおりは今の自分と変わらないようで、一安心しました。

                 @病室



入院中(その1)ステロイド2024年02月16日 11:32

入院中(その1)ステロイド


 7日に入院して、一週間が過ぎた。おかげさまで下痢症状はほぼ無くなった。

 ステロイドはよく効くようだ。経口投与と栄養剤の点滴24時間で4日目ぐらいから下痢回数が減り、口から普通量の半分の食事ができている。ただ、排泄は少しずつしか出ないので、トイレの回数は多い。

 昨日は、朝から5、6回排便で、午後は2、3回である。小便は除いているので、実際にはトイレの回数はもっと多い。便が混じるかもしれないので、必ず座ってする。もちろん、お尻パッドをパンツに貼りつけている。

 入院前からそうだが、今も午前中は動くのはしんどい。動きやすくなるのは、2時か3時ごろからである。この調子は昨年の抗がん化学療法のせいかなあ。手術して半年になるのに、やはり癌は手ごわいぞ。

 前回の入院と比べて、今回は倦怠感があまり出ていないので、わりきればまんざらでもない。家で手の打ちようがなかったところから、灯りがついた感じである。

 ドクター付きのリゾートで、治療より健康増進と思えばよいのだ。厚かましく、大勢の人にお世話になりながら、のんびりやりましょう。