あの世に入っても役立つ樹木(その4)2021年06月23日 16:45

 あの世に入っても役立つ樹木(その4)


 テレビで、縄文時代の家の柱は栗の木で、土に埋まる部分は腐らないように、焼いて炭化させていたと報じていた。うーむ、そう言えば、小さい頃村で、真っ黒の板壁をよく見かけた。焼き杉板である。昔、建築家の藤森照信の作品に興味があったので、写真集や著作をよく読んだ。詳細は別の機会に記すとして、焼き杉板やタンポポハウスの話を思い出した。また、上高地の大正池の立ち枯れの木々も、焼岳の噴火で一夜にして炭化したのかな。100年たっている。焚き火の燃え残りが混ざった草木灰を畑に撒いても、炭と燃え残った木端は何年も土中で形を止める。自然界では微生物が大抵の有機物を分解してしまう。炭のように無機化したものには虫もつかない。

 そうか、例の柱の防腐対策に表面炭化がピッタリではないか。迂闊にも先人の知恵に気づかず、悔しい。キーワードは、縄文、焼き杉、藤森、なぜ思い浮かばなかったのか?どうも安易な判断で走ってしまう。あとで思う、時間はたっぷりあるのに、もうちょっとあれこれ考えたらよかった。これも老化の一つか。気をつけねば。


 さて柱をチェックした。ちょうど大雨が降った後で、結構湿気が回っているではないか。更に吹き降り避けに瓦で覆ってあった場所に木屑がある。虫が生きている。殺虫剤が柱の中まで届いていないのか。焼いて殺虫できるか分からないが、防腐も兼ねて古来の方法、焼き肌法を試すことにした。

 表面を焼くのにトーチバーナが要る。インターネットで調べてみると、ソトフィールドチャッカーが良さそうだ。逆さにしても使えるとある。後でわかったことだが、これがコーナンでもほぼ同じ値段で並んでいた。何でもインターネットが安いとは限らない。物による。何度も経験しているのに、まあイイかで、ついポチッとしてしまった。これもせっかちかな。


 表面に塗膜があるので一瞬ボーと炎が立ち上がって、白い灰がうっすら残る。表面が黒くなるまで焼いた。根っこは緻密で簡単には焼けない。そう言えば何でも根っこは燃えにくいし、腐りにくい。多分表面はポリフェノールが根を守っているのだ。切り株は中心部が腐って側は残っていることがよくある。

 根元に埋めた水はけ用のバラスはそのままにして、中間部は適当にあぶって塗装も活かすことにした。後は虫のチェック、木くずが出たら殺虫剤をスプレーしよう。

 

 何でも見える化することが大事。虫は大体敵がいるので身を守るために色々工夫している。夜間に動いたり物陰に潜んだりしているのだ。棚に並べた薪には、ほぼ一年で虫がつく。虫は住処を見逃しはしない。どうも当世の縮図を見ているようだ。なんでも被せたらあかん。湿気がこもるし、暗いし、虫もわく。風を通すに越したことはない。裸で行こう。