病気-年末雑感2023年12月30日 20:08

 病気-年末雑感


 6月に胃カメラで食道がんが見つかった。7月に抗癌化学療法で2週間単位で2回入院した。8月のお盆明けに切除手術をした。11月からオプジーボの抗がん免疫療法を開始し、4週毎に12回の予定で点滴を継続している。

 7月から家族を巻き込んで生活が一変した。自覚症状は咳が出る程度で痛みはないが、気が滅入った。切り取れば済む、いやあちこち転移してるかもなど、繰り返し頭に浮かんでくる。機嫌の悪いオヤジ一人にてんやわんやで、家人を筆頭に周りは耐えて良く面倒見てくれたものである。

 抗がん剤療法は副作用がでる。全体的に倦怠感がでて吐き気、食欲不振、下痢、便秘、脱毛など、とにかくしんどい。最初は症状が出ても我慢して薬をもらわなかった。そのうち要領がわかってきた。もっと早く薬を要求すればよかったと思った。それもあって2回目の入院時は副作用が軽かったような気がする。

 8月化学療法が終わって、2週間ぐらいたって、急遽手術日が決まった。最終確認のPET-CT検査をやめて手術することを、グループ会議で決めたそうである。お盆もあって手術室が混み合っていたのかもしれない。手術前のX線CTやカメラ検査で、癌が小さくなっていることが分かり一安心していたものの、リンパ節への転移があるので早いに越したことはない。

 手術の当日は朝から家人と控室でしばし面談して、手術室に入る。この時がなんとも言えない。今生の別れとまでは言わないが、よろしくない。というのは、生きて戻れないかもしれないと一瞬考えてしまうのである。あまり経験したくない。こちらの意識は麻酔が効くまでのわずかな時間だが、家人は7時間余り(家人より10時間とのこと。1/16訂正)不安な時間を過ごしたので大変だったろうと思う。

 入院中は看護師さんのお世話になる。治療の柱である24時間点滴から体温、血圧などの計測やら、採血まで看護師さんがやってくれる。昼夜の2交代である。女性の場合は、ほとんど髪型は一つ結び、べっぴんさん揃いで区別がつかない。もちろん、名前は覚えられない。ナースステーションでは誰もが担当者に見えてしまう。見かけは別にして、色んな人がいる。繊細な人から大雑把な人まで色々、でも皆さんよくやってくれた。

 コロナ禍で医療従事者の大変さは報道で知っていたが、自分がお世話になって、あらためてすごいと思った。歳とれば他人の有り難みが身にしみると言うが、病気になってその感は倍増した。同時に、どこかに潜む傲慢さを恥ずかしく思い、生かされていることを実感させられた。

 悪いことばかりではない。「ぼちぼち生き様を見直せ」との天の仰せである。病気もこの程度で済んだ。天罰ではない、愛の鞭なのだ。